国宝 五重塔
江戸時代(寛永21年/1644年) 木造 本瓦葺
新幹線の南窓から見えるのが、東寺の五重塔。
仏の都、京都のランドマークタワーです。
その高さは約55メートル、
木造の建造物としては日本一の高さを誇ります。
五重塔は、仏陀の遺骨を安置するストゥーパが起源とされ、
東寺の五重塔には、弘法大師空海が唐より持ち帰った
仏舎利を納めています。
弘法大師空海が奔走した
五重塔の大工事
弘法大師空海は講堂の次に五重塔の大工事に着手しました。しかし、費用も人手も足りませんでした。そこで天長3年、826年11月24日、「東寺の塔を造り奉(たてまつ)る材木を曳(ひ)き運ぶ勧進(かんじん)の表」を朝廷に提出します。
北西の邪鬼(じゃき)
ここで弘法大師空海は、「桓武天皇が造営をはじめて30年が経過しているのにいまだ建築の事業が完成していません。東奔西走して探したところ東寺よりほど近い東山に塔の材木を見つけました。19日より僧と人夫で曳きはじめましたが、木材は大きく、曳く人々の力は弱く思うように運べません」と現状を説明し、材木運搬の協力を願い出ています。
五重塔は、落雷などによって4度焼失しましたが、そのたびに、弘法大師空海と同じように、多くの僧が奔走。五重塔再建という大事業を成し遂げてきました。いまの五重塔は、寛永21年、1644年に再建した、5代目にあたります。
非公開、
五重塔の密教空間
五重塔の初層内部には、極彩色で彩られた密教空間が広がっています。五重塔の各層を貫いている心柱(しんばしら)は、大日如来として、その周りを四尊の如来、八尊の菩薩が囲んでいます。さらに、四方の柱に金剛界曼荼羅を描いています。
五重塔の初層内部
また、四面の側柱には八大龍王(はちだいりゅうおう)、壁には真言八祖像を描き、真言の教えが弘法大師空海に伝えられた歴史を表しています。